心にナイフをしのばせて

心にナイフをしのばせて

心にナイフをしのばせて

えらい本を読んじゃったなあ、とため息が出た。
ブログ「嫁に隠れて本を読む」で知った本。
http://www.joqr.net/blog/book/archives/2006/08/post_31.html
内容の紹介はここに尽くされているので読んでほしい。


15の息子を同級生に殺された母は、加害者だってあんな事件を起こしたのだからふつうの職業には就けないだろうと思い、それを不憫がりもした。ところが、犯人の少年は大学を卒業し、弁護士として活躍していたのだ。


――あまりにセンセーショナルな事実に仰天するが、本書の眼目は実はそこにはほとんどない。突然に家族を殺された遺族の人生を丹念につむいで、読者に追体験させることにある。著者はそのために両親の生誕地にまで足を運び、周囲の証言を集めて、家族一人ひとりの姿を描き出そうとしている。そして成功した。家族が殺されるということの途方もない重さを伝えられていると思う。


帯にあとがきからの引用、

歳月は遺族たちを癒さない。そのことを私たちは肝に銘じておくべきだと思う。

をよりわかりやすい形で、被害者の叔母が語った一文がある。

こういう事件があると、よく時が解決するなんていうけど、義兄さんは洋ちゃんが亡くなった時点で自分の時間が止まってしまったと思うんだよ。