K2 非情の頂―5人の女性サミッターの生と死

K2 非情の頂―5人の女性サミッターの生と死

K2 非情の頂―5人の女性サミッターの生と死

世界ナンバー2の高峰K2の頂に立った女性5人は皆、下山中か別の8000メートル峰で亡くなっている(本書の執筆時点で。印刷間際にまた一人、スペイン人女性が登頂した)。
−という因縁を追いかけた本。結果わかったことは、訳者もあとがきで書いているとおり、5人はまるでバラバラの人間だということ。
だから、なにか謎解き的なおもしろさがあるわけではない。著者はただ、5人への愛情を込めてその生涯を描き出す。何か共通点を探すとすれば、みなとても生き生きしていて人間的ということだろうか。読む方はいずれ死ぬと言うことがわかっている女性たちが生き生きと描かれていることに胸の痛みを覚えてしまうが、死は静かに、あっさりとやってくる。
1人1冊の本になってもおかしくない人生なわけだから、5人分となると分厚くなるのもしかたがない。判型もA5と大きいので、手を出しづらいかもしれないが、訳文はかなり読みやすく、著者も山岳の専門家ではないので、素人にもわかりやすい内容になっている。