梅里雪山 十七人の友を探して

梅里雪山―十七人の友を探して

梅里雪山―十七人の友を探して

「ここは中国雲南省の最高峰・梅里雪山、標高六四七〇メートル」という冒頭の一文を読んで、旧知のid:ruruchanの心のふるさとの話だなあ、と興味を持った本。行ったことありますか?

梅里雪山とは、著者のサイト(→http://www.k2.dion.ne.jp/~bako/index.html)から引用すると、

「梅里雪山(メイリー・シュエシャン)」は、中国南西部にそびえる長さ30kmの山群の総称である。そこには6,000メートル以上の頂が6つ,1年中雪におおわれる頂が20以上ある。山群の最高峰(6,740メートル)は,チベット語で「カワカブ(白い雪)」とよばれている。
 梅里雪山は、チベット自治区四川省雲南省にまたがる「横断山脈」の怒山山系に属する。

この山での登山隊の遭難、遺体捜索活動、そして巡礼の旅の記録が本書。遭難とは、再び著者のサイトから引用すると、

梅里雪山の主峰カワカブの最初の登山は、1987年に日本の上越山岳協会によって試みられた。この登山は、氷河を突破できずに終わっている。
 1989年と1990年、1996年には、京都大学学士山岳会(AACK)、中国登山協会、雲南省体育運動委員会の3者の合同登山隊が、本格的な登山を行なった。が、いずれも登頂できなかった。その2度目の登山で、雪崩により17人が遭難するという大惨事が起きる。
 この間、山群第2の高峰チョタマ(6,509m)にアメリカ隊が挑戦したが成功していない。現在に至るまで、梅里雪山に6座ある6,000m峰はすべて未踏のままである。

このあたりのことをあらかじめ踏まえておかないと、唐突に遭難シーンから始まってどんどん話が進むので山岳に疎い人間には取っつきにくい。専門用語も特に説明がないのも辛い。BCってなに? ツェルトって、コルって??という状態。だいたい、なぜ梅里雪山に登りたいんだ?
相当な悲劇のはずなのに、筆は粛々と進められている。地元民との梅里雪山を一周する巡礼の旅なんか、もっと情緒たっぷりに描いて泣かせにいくことだって可能だろうに、えらく淡々としている。
とはいえ、なぜかどんどんページを繰ってしまった。おもしろかったのだ。写真も美しい。満月に照らされた梅里雪山は、まさに「神の山」としかいいようがない。チベットの子供たちの笑顔もいい。